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月世界旅行【ネタバレあり感想】

 


バビロン熱が冷めやらぬのでこの機に観てみようかな,と思い立ってみることにした映画史に残る名作。

 この映画を観たことがなくても,月の顔面に宇宙船がぶっ刺さるシーンだけは観たことがあるって人は多いんじゃなかろうか。かくいう私もそのうちの一人でした(笑)

 監督は「ヒューゴの不思議な発明」でも映画界への貢献が称えられているジョルジュ・メリエス。映画創成期を支えた立役者の一人です。

 14分の映画は当時としてはめちゃくちゃ長い映画だったらしいです。14分で長編映画って今では想像もつかないですね。

 昔の映画ってどこで観れるのかなと思っていたのですが,なんとアマプラで観れます。しかも無料。

 アマプラって新しめの映画は無料で,映画オタクが好んで観るような古い映画は有料であることが多いんだけれど,この映画は無料です。多分版権切れてるからだと思う。

 こういう映画も取り揃えてるというところで,アマプラの凄さを改めて実感しました。

 

 今回は評価の★はつけないことにします。100年以上前の映画を今の視聴者基準で評価するのは違うと思うし,何より何点つけるかめちゃくちゃ悩んだからです(笑)

 

あらすじ

 天文学会の会議にてバルベンフィリ教授(ジョルジュ・メリエス)は月への調査旅行を提案する。これに賛同した5人の天文学者と共に教授はロケットで月へ向かう。

 無事に月に到着し,月を探検していると,月の住人セレナイトが襲ってきて,一同はパニックになるが,勇敢な一人が傘?でセレナイトを叩くと,セレナイトは爆発し,叩くか叩きつけるかすると倒せることに気づく。

 探検隊はセレナイト達に襲われ,捉えられて王の前に連れて行かれるが,一人が好きを見て縄を逃れ,王を叩きつけて殺す。

 王を殺されたセレナイト達は混乱し,探検隊を追跡してくるが,探検隊はロケットに乗って月を脱出し,英雄として無事帰還する。

基本情報

監督・脚本:ジョルジュ・メリエス

出演:ジョルジュ・メリエス,ブルエット・ベルノン,フランソワ・ラルマン

製作国:フランス

公開年:1902年

上映時間:14分

こんな人におすすめ

・映画創成期の作品が観てみたい人

サイレント映画に興味がある人

・月にロケットぶっ刺さるシーンだけ知ってる人

感想

サイレント映画らしさを感じる作品

 14分がちょうどいい感じの勢いのある映画。

 サイレント映画なので声はありません。

 当時は映像に合わせて収録した音を再生することが困難だったらしく,サイレント映画の時代の当初は本当に無音,途中から映像に合わせてオーケストラが音をその場で当てるサウンド版がでてきたらしいです。音をつけられなければその場でつければいいっていう努力が感じられていいですね。

 セレナイトが叩けば倒せる異星人っていうのも,まさにサイレント映画だからだと思うんですよね。絞めたり刺したりするようなアクションって音ありかつ今の解像度で映画が見られるからだから映えるのであって,映像粗くて音もないとなると,投げて倒すってのは非常にわかりやすい。

 

 台詞がない分身振り手振りで状況を表現しなくちゃいけない関係上,登場人物の動きは基本的に大袈裟です。

 字幕もないから動きの雰囲気で状況を理解する必要があるので,なんだか本を読んでいる時の逆パターンな気分になります。本は文章から情景をイメージしますけど,サイレント映画は情景から台詞をイメージする感じです。

 

月世界にも時代を感じる

 映画が公開されたのは1902年と宇宙開発競争が始まる50年以上も前だったので,月への行き帰りや月世界の表現にはかなりファンタジー入ってて時代を感じます。

 宇宙に行くのに宇宙服は着てないし,発射はミサイルみたいなノリで発射されるし,宇宙空間生身で飛んで帰ってくる隊員はいるわでまぁまぁな自由っぷりです。

 今だったら絶対撮れない感じでなんかいいですよね。

 

 

 サクッと観れて歴史も感じられるので,映画を観て映画史にちょっと興味がある人なんかは是非観てみるといいんじゃないかと思います!